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トークイベント「監督特化型アニメーション制作AIモデルの開発研究」
山村浩二監督の個性を学習したAIの現在地

2026年3月19日(木)「ART DX EXPO #3 東京藝大アートDXプロジェクト 2025 成果発表展」内にて、トークイベント「監督特化型アニメーション制作AIモデルの開発研究」を行いました。企業との連携を通じて、先端技術を取り入れた新しい映像表現やコンテンツ開発を実践的に学ぶ「Program08:先端技術クリエイティブワークショップ」の一環です。
東京藝術大学大学院映像研究科とAiHUB株式会社は、山村浩二教授(大学院映像研究科教授)のアニメーション原画やドローイング等をAIに学習させ、監督の個性を持った新たな画像やアニメーションを生成するという研究に取り組んでいます。
今回の発表会では研究のプロセスやアウトプットの報告に加え、創作におけるAI活用の可能性と問題点、アーティストの創作の本質に関わる議論が展開されました。
まず、新井モノ氏(AiHUB株式会社 CTO)から、AIの技術解説や本研究で使用したAIモデル等の報告が行われました。その中では、巨大なベースモデルに特定の表現を追加学習させる技術「LoRA」を活用し、「ControINet」で構図やポーズ等の制御を行い、それらを「ComfyUl」で組み合わせることで特定の作家に寄り添ったAIモデル及びワークフローを構築したこと等、本研究のプロセスと手法が紹介されました。
次に、松田華凌さん(大学院映像研究科修士2年)からは、この実験と同時に行なった東京藝大学生を対象に行なったAI講座について報告を行いました。講座は、「1. 生成の仕組みを知る」「2. 自分の絵柄をAIに学習させる」「3. AIで自分の絵を動かす」の3回実施され、東京藝大の映像研究科や先端芸術表現科、日本画科などの学生が参加しました。

山村教授からは、作家が描く線には、衣服のシワや影や勢いなど複数の意味がこめられているが、AIはそれを単なる衣服の模様として認識するため、手描き特有の線が持つ複合的な意味や感覚が失われてしまうという課題の指摘があり、作家の意図や紙や画材など物質的なものとの対話を含む制作プロセスそのものをAIに学習させる必要が議論されました。
最後に、岡本美津子教授(大学院映像研究科教授)から教育の観点からの議論として、作家性や独自性を育てることが重要である一方で、AIを新たな発想を生むツールとして活用する可能性が提起され、新井氏からはドイツの建築のバウハウスプロジェクトを例にあげ、AIを通じて異分野のクリエイターが集まり、新しい文化や表現が生まれる可能性や、山村教授から美術教育の中で専門化して分かれていった演劇・音楽・映画・美術などがAIを介して再び混ざり合い、刺激し合える未来への期待などが議論されました。
※「AIによる“監督特化型アニメーション制作”の実践的研究」途中成果発表会については、後日詳細なレポートを発信する予定です。


