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国際演出ワークショップ

国際的に活躍する映画監督の「演出力」を磨く

国際演出ワークショップ
映画レポート2026.05.31

国際的な視野と高度な演出力を備えた映画監督の育成を目指す「Program 4:国際映画共同制作」。その取り組みの一環として、2026年3月9日(月)から13日(金)までの5日間、「国際演出ワークショップ」を実施しました。

講師には、世界有数の映画教育機関として知られるフランス国立映画学校 La Fémis の元監督領域長、ブリス・コヴァン氏を招聘。講義と実習を組み合わせたワークショップを通じて、国際的な映画制作に求められる演出の視点と実践的な知見を学びました。

スケジュール・プログラム内容

1日目:3月9日(月) 講義

講師による演出についての講義が行われました。

映画監督として直面する課題と、その実践的なアプローチについてレクチャーが行われました。

俳優とどのように向き合い、どのように演出を行うべきかについて、実際の映画制作工程の各フェーズを整理しながら紐解いていきます。

2〜5日目:3月10日(火)〜13日(金) 実践ワークショップ

2日目以降は実践形式のワークショップが行われました。監督領域の学生4名が、ひとり1日を担当し、監督として俳優を演出しながら撮影を行います。1日の最後には撮影した映像を上映し、講師から講評を受けます。

担当日以外の監督領域の学生はスタッフとして撮影に参加し、監督の演出や講師の指導を客観的に見ることで、また異なる学びを得ました。

ワークショップの流れ

ここでは、3月12日(木)に行われたワークショップを例に、1日の流れを紹介します。

9:30 打ち合わせ

馬車道校舎4階講義室にて、参加学生の山中隆史さん(監督領域一年生)とブリス・コヴァン氏が打ち合わせを行いました。

事前に与えられた課題脚本『A Separation. 別離』をもとに、監督が考えてきた演出プランについて議論が進められました。キャラクター設定や脚本の読み方、どのようなテーマや関係性を表現したいのか、さらに場面設定や衣装などについて確認していきます。

ブリス氏は、登場人物の解釈や人物関係のバランス、シーンの意図をどのように映像として表現するかといった点について質問を重ねながら、演出プランを整理していきました。

10:30 俳優とのディスカッション

俳優2名が合流し、人物造形やシーン解釈について共有しながら議論を行いました。脚本のセリフのニュアンスや、脚本には明記されていない背景をどのように解釈するかを検討し、必要に応じて事前に準備してきた演出プランにも修正が加えられました。

また、このワークショップは、監督から一方的に演出指示を出すものではなく、俳優から何を引き出せるかを探究する「双方向の場」です。監督から基準とする考えを提示した上で、俳優たちの思考やアイデアを探り、シーンの方向性を模索していきます。

11:00 リーディング

俳優が脚本を声に出して読みながらシーンを試し、監督が演出の意図を伝えていきます。俳優の解釈や反応を踏まえながら、人物関係や感情の流れを確認していきました。

11:30〜15:30頃 ロケーション移動・ブロッキング

ロケーションに移動し、その空間内で俳優の立ち位置や動きを決めるブロッキングを開始。空間や小道具の使い方、人物の動線や感情の遷移を検討しながら、シーンをどう構築するかを具体化していきます。

昼食休憩を挟んだ後半では、監督から俳優への演技指示を受けて演技を調整するとともに、ブリス氏が補足や提案を加えながら、シーンの創造性を高めていきました。

写真:ロケーションでのブロッキングの様子

15:30〜17:00頃 撮影

カメラを入れたブロッキングを行った後、実際の撮影を実施しました。演技の方向性や撮影方法を微調整・試行錯誤しながら、複数回のテイクを重ねていきました。

写真:撮影中の様子

17:00〜17:45頃 ラッシュ上映

撮影した映像を大視聴覚室で上映し、ブリス氏から講評が行われました。複数のテイクを比較し、撮影の過程で試した演出によってシーンがどのように変化したのかを振り返りました。さらに、撮影監督などスタッフとの意思疎通の重要性や、状況に応じて演出を調整していく監督の柔軟な判断についても触れられました。

演出の意図を伝えつつも俳優自身が解釈し発見できる余地を残すことの重要性、さらに言葉だけでなく身体の動きや距離感といったボディランゲージによる表現についても指摘があり、シーンの関係性がどのように映像として成立しているかを確認しました。フランスの映画制作の場において、いかに時間をかけてブロッキングが行われているかの説明もあり、学生は驚いていました。

まとめ

5日間にわたるワークショップを通じて、参加学生は俳優との対話、シーン構築、撮影現場での判断など、映画監督として求められる演出のプロセスを実践的に学びました。講義と実習を往復する密度の高いプログラムは、「演出者と俳優が創造性を保てる場をどうやって作り上げていくか」を集中的に探求する取り組みでした。本ワークショップで得られた経験が、今後の制作活動や国際的な映画制作への挑戦につながることが期待されます。